乳腺外来のご案内

20歳すぎれば乳がん年齢
若いからって安心していませんか

       乳がんの罹患率は年々増加


 日本女性において乳がんは増加の一途をたどり、1996年には胃がんを抜いて悪性腫瘍罹患率で第一位になりました。その後も増加を続け、2003年には約38,000人が罹患、2015年には48,000人が罹患すると予測されています。これは2003年の時点で、なんと22人に1人が乳がんになることを意味します。
乳がん罹患率の増加はいろいろな要因が考えられますが、食生活をはじめとする生活様式の欧米化が大きな要因と言われています。アメリカでは人種による差がありますが、8人に1人が乳がんに罹患しています。将来、日本もそれに近づくと予想されているのです。

          乳がんは若年層に多い傾向


 乳がんの発生は、20歳過ぎから認められ、30歳代ではさらに増え、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎えます。これは50歳以降にピークを迎える他臓器のがん(胃がん、大腸がん、肺がんなど)に比べ、若年層に多い傾向にあります。仕事、結婚、出産、育児と多忙な日々を送る20歳〜30歳代の女性に知らず知らずのうちに乳がんが発生し、いつもと違う乳房に気づき始めつつも、「忙しいから」「まだ若いから」と検診、診察に行かない、また行く時間がないうちに、がんはすでに転移(他の臓器へ飛び火)の準備を始めている。そして…。



       
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          発病された方の約30%が死亡


 厚生労働省の調査では、乳がん死亡者数は増加の一途をたどっています。2003年には9,800人が亡くなりました(1955年の約6倍)。これは発病された方の約30%にあたります。
 転移を始めた乳がんは、今の医学では完治させることはまず不可能です。もしもあなたが乳がんとなり、不幸にも転移を始めたら、そして薬で進行を遅らせてもやがて命を脅かす事態になったら、あなたの辛さははかり知れません。



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           欧米諸国の死亡率は減少


 ところで、世界では日本だけが乳がんによる死亡率が上昇傾向にあります。アメリカ・イギリスをはじめとする欧米諸国では乳がん発症率は増加しているものの、1995年から死亡率は減少傾向が続いています。これはマンモグラフィ検診の普及や啓蒙運動により、早期の内に治療に取り掛かることができるため、完治するからなのです。



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 つまり、乳がんは発症を防ぐことはできないものの、乳がんによる死亡を防ぐことはできるのです。定期的な乳がん検診、乳がん診察をぜひお勧めします。